多方面より、「最近ブログが更新されません」とのお言葉をいただきました。

しばらくブログをお休みしておりまして申し訳ございませんでした!
忘年会、新年会シーズンも終わり、ようやっと落ち着いて参りましたので、 また再会したいと思います。
なにより、見ていてくださる方がこんなにいてくださるとは…嬉しい限りです。

遅筆ながら、なるべく更新するようにします!生暖かい目で見守ってください。

 

さて、今回のテーマは、碁会所が提供するサービスについてです。
碁会所(囲碁喫茶)って、どういった業種になるのでしょうか。

よくお店関係の書類等を書く時に迷うことがあります。
娯楽施設?飲食業?カルチャースクール?教育関連? どれも正解のような気がしますが、

私はサービス業だと考えています。 それが何故かはまたの機会にするとして…(ちらっとコチラの記事に書いていたりもします)

まずは世間一般的に認識されている碁会所のサービスについて考えていきます。

 

スポンサーリンク

 

囲碁を打つ【場所】としての碁会所

IMG_0985

碁会所なのに、囲碁が打てない??

それはそれで面白いかもwとも思いますが、本来碁会所のサービスは、碁を打つ場所を提供するサービスとして成り立っています。

そのために、席料という料金体系をとっているところがほとんどです。

歌う場を提供するカラオケや、漫画を読むスペースを提供する漫画喫茶
卓球や野球をする場を提供するスポーツ施設と同じような感じですね。

少し…いや、かなり違うのは、一日制であるといった点。

漫画喫茶の例を挙げると、大体30分200円くらいが相場でしょうか。
パック料金を利用すると、大体8時間2000円弱でネットサーフィンやコミックを楽しめます。
1時間であれば大抵は500円くらいで過ごせますね。

それでは、碁会所はどうでしょうか。 碁会所の席料というのは、基本的に時間制にはなっていません。

つまり、営業時間内であれば同一料金で閉店まで楽しめます。

碁会所の席料の平均は、大体1000円くらい。
仮に8時間営業していたとして、開店から閉店までいた場合、
漫画喫茶と比べると、2倍近く価格が違います。

碁会所はとってもお得なのです。
と同時に、場所としての提供をサービスの中心とするならば、
とてもこの料金設定では経営が成り立たないということでもあります。

しかし、ちょっと前まではどこの駅にも碁会所があったものです。

え?なんで?碁会所って経営成り立たないんでしょ?

そうです。でも、ちょっと前までは成り立っていたのです。

それは、需要と環境がサービスにマッチしていたからです。
もっと言えば、碁会所の席料が何故お得なのかといった点についても、それに起因します。

【場所】としての碁会所の需要の変動

碁会所の性質

さて、何故碁会所の席料はお得なのかについてですが、
その前に碁会所というお店の性質についてお話しなければなりません。

碁会所は他業種と違い、新規の顧客が極端に少ないといった性質があります。

もちろん新しく来るお客さんが多い碁会所もあるとは思いますが、
他業種の店舗と比べると、遥かに新規来店が少ない業種であるといえます。

例えば居酒屋、喫茶店、美容室、小売店… 来店客のほとんどは新規客、といっていいような業態ですね。
それに比べると、碁会所はほとんどが常連様です。

そしてそれが碁会所の席料がお得な理由になります。

先に挙げた業態は、ほとんど新規、一発勝負。
ほとんどのお客様は、年間に1度しか来客しないかもしれません。

仮に2000円のお買い物をしていただいたとしても、
年に1度しかいらっしゃられないのであれば、一個人に対して年間売上が2000円です。

しかし碁会所の常連様であれば、年間1日ということはありません。

上の例と比較すれば、3回以上ご来店いただければ、大抵一個人あたりの売上は勝ります。

だから碁会所は一回あたりの料金がお得に設定されているのです。

それでは、なぜ他業種と比べて常連様が多くなるのか。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、

正直、これまでは他に囲碁を楽しむ場所が無い環境だったからです。

碁会所以外に囲碁を楽しめる場所が少ない状態だったからこそ、
碁会所の需要は大きく、多くのお客様に何度も足を運んでいただいておりました。

また、何故碁会所には新規顧客が少ないかという点についてですが、

それは囲碁自体が他の業態の需要に比べて少ないからです。
(カラオケする人、お酒を飲む人、ご飯を食べる人より、囲碁人口の方が多かったらそれはもう革命ですね。)

それゆえ、碁会所は常連様に依存する体系になっています。
言い方を変えると、碁会所は常連様によって支えられ、成り立っているのです。

常連の変動

先に述べた通り、碁会所は常連様によって成り立っています。

しかし近年、常連様の性質が変わって参りました。

ここで樹林の例を挙げます。 樹林は40年近く続くお店です。
私は3代目。
2代目のオーナーがお店を畳む直前に引き継ぎました。

私が引き継ぐ前と後では、ご来店いただいているお客様の数はこの3年で3倍近く増えました(ありがたいことです)。

しかし、来店数に関してはあまり変わっていません。

理由は簡単で、以前と比べて一人あたりの来店頻度がとても少なっているからです。

以前の樹林には、毎日ご来店くださるお客様が多数おりました。
当然毎日いらっしゃるので、ひと月あたりのお一人様単価は数万近くになります。
それが何十人もいたのです。

しかし、お仕事の関係で…お仕事をご引退されて…体調の都合で…等々

様々な都合で来店頻度が減り、段々経営が苦しくなってきました。

つまり、来店頻度の高いことを前提にした価格設定に対して、
来店数が減ったことによって採算が合わなくなってきてしまった
ということになります。

変動の原因

ひとつに、お客様の高齢化が挙げられます。

先述したように、お仕事の関係で…お仕事をご引退されて…体調の都合で…等々で
メイン顧客層の来店頻度が減少し、これまでの常連様の性質から少しずつ変動しています。

 

二つ目は、環境の変動です。

常連が減っているのであれば、新しく増やせばいいのではないか。
その通りなのですが、インターネットが普及した現代、
いつでもどこでも誰とでもネットで囲碁が打てる環境(素晴らしい時代であると私は思いますが)で、
囲碁を打つためだけに毎日碁会所に通うという意識は、
以前と比べて薄くなって来ているのが現状です。

特に若年層、お務めになられているお客様に関しましては、
ほとんど毎日通うというこれまでの碁会所のお客様のスタイルとは全く異なります。

 

 

三つ目は、趣味・情報の多様化だと考えています。

様々なサービス、多種多様な商品・コミュニティが普及し、気軽に楽しめるようになった現代で、
毎日碁会所に囲碁を打ちに通うという選択肢だけを選ぶ方は少ないでしょう。

 

最後は、囲碁人口の減少です。
囲碁そのものが衰退傾向にあることも原因ですね…。
また、碁会所のイメージが悪いこと、
先述した理由により来店数が減ってきていることも人口減少に拍車をかけています。

以上の理由により、囲碁を打つ【場所】としての需要はどんどん減り、
碁会所はいよいよ苦しくなってきています。

【場所】としての碁会所からの脱却

IMG_2551

先述の通り、碁会所は、【囲碁を打つ場所を提供するサービス】としては、
もはや成り立たなくなってきています。

囲碁を打つだけなら、インターネットで打てます。
しかも、価格も碁会所に行くより全然安い。
もちろん対面で人と打ちたくなることもあります。

インターネットが使えない人や、ネット碁が苦手な方もいるでしょう。
対面で打つのは楽しいし、色々な人とコミュニケーションも取れる。

碁会所の需要は、以前と比べて少なくなるかもしれませんが、無くなる事はないかもしれません。
いや、無いと思っています。

しかし、毎日行く必要も無いし、そんな時間も無い…。

それでは碁会所は潰れて行くばかり…。

そんな現状から、私はこれからは、囲碁を打つ場所を提供するサービスといった、
これまでの碁会所の認識を脱却しなければ、未来が見えてこないのではないかと考えています。

もちろん、「碁会所は囲碁を打つだけの場所だ」と考えている方は少ないと思います。

多くの碁会所は大会を行ったり、リーグ戦を行ったり、教室を開いたり、指導をしたり…様々なサービスを行っています。(そりゃ、碁盤と碁石を置いておくだけで儲かったら誰でもやってますものね…。)

問題は、囲碁を打つ場所と環境を整えることに囚われ過ぎていないか…といった点です。

お客様の目的を「囲碁」「場所」だけに限定すると、いくらでも代わりが効いてしまう現代で、
碁会所として、何ができるのか…。

そういった現状から、
私は「碁会所は囲碁を打つ場所の提供ではなく、お客様ひとりひとりに対するサービス業であるべき」と考えるようになりました。

まとめ

■碁会所は、サービス業

■場所提供としての価格設定は他業種と比べて安価である

■碁会所は常連様で成り立っている

■様々な要因で常連様が減少している

■常連の性質が変動しつつあり、来店頻度が減少傾向にある

■もはや場所を提供するサービスとしては成り立たない

■お客様ひとりひとりに対してのサービスの質・可能性を考えるべき

 

それでは、碁会所、囲碁喫茶として、どんなサービスが提供できるのか。
少し前の記事に簡単なサービスの可能性を書きましたが、
もちろんそれだけでは足りません。

考え、実行し続けることで、より良いサービスを模索し、磨いて行くことが
碁会所の課題だと私は思います。

長々と書いてしましましたが、今回はこの辺で!

 

スポンサーリンク

囲碁将棋喫茶樹林公式サイトはこちら